夢相続コラム

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【相続実例コラム】収益のない土地や自宅を賃貸住宅に建て替えた小泉さん

2020/07/06


【相続実例コラム】収益のない土地や自宅を賃貸住宅に建て替えた小泉さん

●相続関係者

被相続人 夫(不動産賃貸業)
相続人 4人(妻・相談者、長女、次女、長男)

●相続事情

小泉さんの夫は造園業を経営していましたが、所有地に道路が通る計画となり、分断されたことを機会に造園の仕事を続けられなくなりました。道路が所有地の真ん中を斜めに横断するため、残された所有地はともに三角の地形となってしまいました。
けれども道路がよくなったことで車の通りも頻繁になり、ファーストフード店から借りたいという申し出があり、賃貸できています。
家業の造園業を継続するなら跡継ぎにと期待していた長男は大企業へ就職が決まると実家を出て、勤務先の近くに住むようになりました。自ずと小泉さん夫婦は、すぐ近くに住む娘を頼りにするようになったということです。こうした背景があり、夫は、知人の勧めで公正証書遺言を作成することになり、半分は妻に、あとの半分を3等分ではなく、長男は娘たちの半分程度とする内容でした。その夫は、遺言書作成から2年後に亡くなりました。

●相談にこられたきっかけ

小泉さんは公正証書遺言の執行者にもなっていました。遺産分割には大きな問題はなかったのですが、困ったことは、子供たちの納税と造園業当時から残っている銀行からの負債でした。賃貸収入はあると言ってもそれで納税や負債が払えるとは思えません。どうしたものかと思案しているときに、娘から、「本を読んだら相談ができると書いてあった」ということを聞き、娘と一緒に相談に来られたのでした。

●運命の分岐点・ここがポイント

☆測量、図面作成で高低差のある不整形地を評価
土地は全部を測量することにしました。どちらの土地も三角で、高低差もあり、不整形地といえます。一つの土地は、2方が道路に面していますが、入り口は平坦ながら、奥の道路は5mほども高くなっています。この土地については、高低差の出る図面も作成してもらいました。もう一方の土地は、貸店舗、駐車場、造園当時の土地などの利用区分により分けるとどれもが不整形地となりました。
こうした図面を作成することで、土地の評価を大きく減額することができましたので、相続税も減額することができました。

☆土地1ヶ所の売却で納税、返済資金を捻出
銀行借入は造園業当時のもので、仕事を辞めてしまった現在では、返済の目途がつきません。また、土地には、銀行の抵当権がついたままですから、1ヶ所を全部売却することで、納税資金と返済資金を捻出することにしました。
その土地は、ファーストフード店が賃貸していましたので、売却することを通知すると購入してくれることになりました。店舗の裏には造園業当時に利用していた空き地があり、店舗の倍以上の広さとなります。一度に売却することで、納税資金と銀行返済がまかなえる金額となりました。

☆買い換え特例を利用
売却した土地は、ファーストフード店の部分と駐車場、造園業跡地が一体となったものです。当初は、裏の造園業跡地だけの売却を考えましたが、地形が変形で表部分となる貸店舗と合わせないと利用価値が半減することから、合わせて売却をするしかありませんでした。しかし、それで子供は納税ができ、銀行負債を相続した小泉さんは返済ができたわけですが、納税のない長妻さんは譲渡税を払うことになります。
しかし、賃貸物件を売却したことから、事業用資産の買い換え特例を利用し、譲渡税を節税することにしました。

☆賃貸収入で二次相続対策
事業用資産の買い換え特例の要件を満たすために、残る所有地にあらたな賃貸住宅を建てることに決め、二次相続で分けやすいように、2棟の賃貸マンションとしました。1棟にするよりは、将来の遺産分割で分けやすくすることを目的としました。 こうして今までは、空き地のままで収入を生まなかった土地から賃貸収入が得られるようになり、相続対策にもなったのでした。

☆自宅を建て替え売却した代わりの賃貸収入
次は自宅ですが、ひとり住まいにすれば広い土地です。自宅からは収益が生まれないので、固定資産税がかかるばかりです。また建物が築30年近くなり、老朽化してきたことや、まだ相続税がかかることが予想されました。
そこで、古くなった建物を解体し、オーナー邸併用の賃貸住宅に建て直すことを提案したところ、夫の相続税が大変だったことから、対策になるのであればと決断されました。 これにより、相続税が大幅に節税されるとともに、一時はファーストフード店を売却して減った賃貸収入ですが、全部合わせると収入は以前より増える見込みとなりました。

●相続実務士の視点

小泉さんは、ご主人を亡くされたときに、節税してもまだ相続税がかかることを経験されましたので、自分のときには子供が苦労をしないようにと、節税対策の決断をされたのでした。
相続した土地があることは大きな財産ですが、維持するために費用がかかるのは大きな課題で負担となります。貸店舗や賃貸マンションは収入があるので問題はありませんが、広い自宅不動産は収入を生まないため、小泉さんの所有する不動産の中では負担になっていました。今後の相続のため家族で話し合われ、維持しやすい環境に整えていくことも必要だという提案に理解をして頂き、実現したのでした。
造園業を営んでいた当時は、厳格なご主人や従業員に気を使ったり、資金繰りに頭を悩ましたり本当に大変だったとのこと。二次相続まで相談して、準備もでき、本当に安心だと喜んで頂いています。心配ごとが減ったことで人生を楽しんで頂きたいという気持で、これからもお手伝いをしていきたいと考えています。

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