夢相続コラム
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【遺言を作る人のそれぞれの事情】同居はしない長男の分与を明確に
2022/11/29
【遺言を作る人のそれぞれの事情】同居はしない長男の分与を明確に
◆相続関係者
●遺言作成者 小林泰一さん・80代 (作成時)
●推定相続人 長女、長男
◆家族と相続の状況〈長男は家に戻らず、長女が近くに住むのが救い〉
小林さんは地方公務員を定年まで勤め上げました。昭和の貧しい時代を経験しているだけに、質素倹約し、広めの土地を購入し、家を建てることもでき、長女と長男の二人の子供に恵まれました。長女は嫁ぎましたが、家を購入する機会に実家の近くに住みたいとのことで、小林さんがお金を出し、歩いて数分のところに住んでいます。
長男は、仕事の関係で学校を卒業後から家を離れて生活をしています。結婚するときにも戻ってくるどころか、「今後、父親とは同居をするつもりはない」と小林さんに伝えてきました。長男だから戻ってくるのではと淡い期待があっただけに正直がっかりしました。 そうするうちに妻が亡くなり、小林さんは一人暮らしを余儀なくされましたが、長女がすぐ近くに住んでいることが幸いし、心強く、何ら不自由はありませんでした。
◆遺言を作る理由〈家を継がない長男には不動産は相続させない〉
ほどなく、長男は自宅を購入するので、資金を援助してもらいたいと申し出てきました。結婚は30代になってからで、子供が産まれることになって、広いところに移りたいということです。相変わらず同居をするつもりはなく、実家に戻る選択肢はない様子です。そこで、小林さんは、長男に相続財産の前渡しとして、自宅の購入資金を贈与し、自宅と長女が住む家は、長女に相続させると気持ちが固まったのでした。
それでも小林さんが心配するのは、自分の相続の時に、長男が多くの財産を要求して長女と揉めたりしないかということでした。長男の妻ははっきり主張するタイプで、「相続の時にも財産はもらいたい」と言われたことが忘れられません。
そこで相続コーディネーターに相談し、公正証書遺言を作成しました。長男には預金の一部と株券だけとし、残りの全財産は長女へ相続させます。遺言執行者も長女としました。
こうすることで、2カ所の不動産は長女が相続できますので、安心です。自宅や長女の家を、財産争いで売る心配もこともありません。長男に相続させる預金は、退職金や株の運用で増やしてきたものです。この先使う予定もないため、相続までに減ってしまうこともないでしょう。小林さんはこれで二人の子供が争わないですむとほっとしたのです。
◆遺言がないと困ること
・長男に現金を渡しているのに相続でも多く要求してくるかもしれない
・長男も嫁もはっきり物を言うタイプで長女とケンカになりそう
・長男が長女の家も欲しいと言い出すと売ることになる
◆相続実務士からワンポイントアドバイス
贈与を相続財産の分与とする場合は本人にも伝えて遺言書に明記しておく。財産をもらいたいと発言する場合は相続時になるとさらに要求されることもある。遺言書は絶対必要。
◆知って得する遺言のイロハ
遺言があると遺留分は法定割合の半分。遺言がない場合は法定割合が基準となる。
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