夢相続コラム

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【もめない遺言書】親族より身近な他人に遺贈するための遺言書

2022/11/16


【もめない遺言書】親族より身近な他人に遺贈するための遺言書

 

◆相続関係者

●遺言作成者 遠藤博さん60代

●推定相続人 亡長男の娘二人(姪)

 

◆家族と相続の状況〈妻に先立たれて子供もなく、一人暮らしが長くなった〉

遠藤さんは団塊の世代よりも少し上の年代で、集団就職が盛んだった昭和40年代に地方から都会に出てきました。就職した電力会社でずっと定年まで働いてきたので、現在は年金で生活をしています。一緒に暮らしていた妻と間には子供に恵まれず、結局入籍しないまま、もう何年も前に亡くなってしまいました。それからは一人暮らしです。

 

故郷を出てからというものほとんど帰ることはなく、もう都会の生活ほうが長くなってしまいました。故郷の両親も割に早く亡くなりましたが、特に財産もなかったので、相続するものもありませんでした。そのかわりと言えるのか、同居や介護などを考えることもなく、煩わしいこともなかったのは幸いだと考えています。

 

◆遺言を作る理由〈交流のない身内の姪より、親切にしてもらった人に財産を渡したい〉

遠藤さんには兄がいますが、その兄もすでに亡くなり、身内と言えるのは亡兄の娘二人だけです。しかし、その姪たちとは両親の葬儀や兄の葬儀のときに会った程度で、親しく言葉を交わすこともなく、日頃の交流はないため、どこに住んでいるのかもわかりません。とても自分の老後を頼んだり、財産やお墓のことを託せる心境にはなれないのが本音です。

 

遠藤さんは定年前の50代後半に、検査で異常が見つかり、入院、手術をした経験をしました。一人暮らしの遠藤さんには大変なことばかりです。それを察した職場の同僚の田中恵美子さんが、着替えや手続きなどいろいろと親切に助けてくれました。本当に有り難かったので、お返しに自分の財産は田中さんに託したいと思うのです。また、亡くなった妻の甥である渡辺健一さんにも、何度も会って世話になったので、預金の一部を渡したいと考えています。

 

相続人でない人に自分の財産を遺贈する場合は、遺贈したい人の住民票が必要です。一方的に書いておくよりも、事前に、田中さんや渡辺さんに自分の意思を伝えて了解をしてもらっておくほうが、価値があるとアドバイスを受けたので、そのとおりに二人に話したところ、快く受けてもらい、住民票も渡してもらいました。

 

こうして事前に了解をもらって遺言書が作れ、遺言執行も田中さんに託すことができ、遠藤さんの不安はなくなりました。どこにいるのかもわからない姪たちよりも、身近に接してくれた人たちに自分に財産を渡すことができることが幸せだと感じています。

 

◆遺言がないと困ること

・相続人の姪とは疎遠で連絡先もわからない

・遺言がないと財産は相続人以外の人には渡せない

・財産のことだけでなく、葬儀やお墓のことも不安

 

◆相続実務士からワンポイントアドバイス

遺贈する遺言をひとりで決めて書いておくよりも受贈者に自分の意思を伝えて了解をし てもらうことが大切。自分でも生前に先方の意思確認ができ、価値があると言える。

 

◆知って得する遺言のイロハ

遺言があれば他人でも財産を受け取れ、税金もかからないこともある

 

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